2級土木施工管理技士 過去問
令和6年度(後期)
問28 (土木 問28)

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問題

2級土木施工管理技士試験 令和6年度(後期) 問28(土木 問28) (訂正依頼・報告はこちら)

ダムに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
  • RCDコンクリートを打設するRCD工法では、水和発熱が大きく、パイプクーリングによる養生が一般的である。
  • ダムの転流工は、比較的川幅が狭く流量が少ない日本の河川では、仮排水トンネル方式が多く用いられる。
  • 重力式コンクリートダムは、水圧の大部分を両岸の岩盤に伝えることにより水圧を支える構造のダムである。
  • 中央コア型ロックフィルダムは、一般的に堤体中央部のコア材に、砂礫や岩石など半透水性の土質材料を用いる。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、ダムの種類や施工工法、およびそれに伴う特性について問うものです。

 

ダムの安定を確保するための構造原理や、施工上の工夫を正確に理解しておくことが、この問題を解く上で重要となります。

選択肢1. RCDコンクリートを打設するRCD工法では、水和発熱が大きく、パイプクーリングによる養生が一般的である。

誤りです。

 

RCD工法は、セメント量を抑えた低発熱のコンクリートをブルドーザや振動ローラで締め固める工法であり、水和発熱が小さいためパイプクーリングは原則として行いません。

選択肢2. ダムの転流工は、比較的川幅が狭く流量が少ない日本の河川では、仮排水トンネル方式が多く用いられる。

適当な記述です。

選択肢3. 重力式コンクリートダムは、水圧の大部分を両岸の岩盤に伝えることにより水圧を支える構造のダムである。

誤りです。

 

重力式コンクリートダムは、その自重によって水圧に対抗する構造です。

 

水圧の大部分を両岸の岩盤に伝えるのはアーチ式コンクリートダムです。

選択肢4. 中央コア型ロックフィルダムは、一般的に堤体中央部のコア材に、砂礫や岩石など半透水性の土質材料を用いる。

誤りです。

 

中央コア型ロックフィルダムは、堤体中央部に「コア」と呼ばれる不透水性の粘土や土質材料を配置し、その両側を半透水性の砂礫や透水性の岩石で固めた構造であるため、コア材に半透水性の材料を用いることはありません。

まとめ

この問題のポイントは、各種ダムの形式と施工方法の特徴を正確に区別しているかどうかです。

 

重力式ダムは「自重」で、アーチ式ダムは「両岸の岩盤」で水圧に抵抗し、ロックフィルダムのコア材は「不透水性」の材料を使用するという点を明確に区別して覚えることが重要です。

 

また、日本の河川では仮排水トンネル方式の転流工が一般的であることも押さえておきましょう。

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02

適当なのは、「ダムの転流工は、比較的川幅が狭く流量が少ない日本の河川では、仮排水トンネル方式が多く用いられる。」という文章です。
日本のダムは、谷が狭く急な山地に造られることが多く、そのような場所では仮排水トンネル(転流トンネル)で川の水を迂回させる方法がよく使われます。
他の選択肢は、ダムの構造や材料の説明が実際と合っていません。

選択肢1. RCDコンクリートを打設するRCD工法では、水和発熱が大きく、パイプクーリングによる養生が一般的である。

この文章は誤りです。

RCD工法(Roller Compacted Dam-concrete)は、

 

・セメント量を減らすなどして

・水和発熱を小さくし、温度ひび割れを起こりにくくする

 

ことをねらいにした工法です。
水和発熱が大きいと、内部温度が上がり、冷めるときにひび割れが入りやすくなるため、大規模ダムではパイプクーリング(冷却パイプに水を流してコンクリートを冷やす方法)を行うことがあります。

しかし、RCD工法はまさにこのパイプクーリングをなるべく不要にするための「低発熱」の工法です。
この選択肢は「水和発熱が大きく、パイプクーリングが一般的」としており、RCD工法の特徴と逆になってしまっています。

選択肢2. ダムの転流工は、比較的川幅が狭く流量が少ない日本の河川では、仮排水トンネル方式が多く用いられる。

この文章が適当な記述です。

ダムを造るときには、工事中に川の水を工事区域の外へ一時的に逃がす(転流する)工事が必要です。
日本のダムサイトは、

 

・山間部で谷が狭くて深い

流量も、世界の大河川に比べればそれほど大きくない

 

という条件が多いです。

このため、山の横にトンネルを掘って、

 

・川の上流から水を仮排水トンネルに流し込み

・工事区域を締切堤などで囲って掘り止め

その間にダム本体を施工する

 

という仮排水トンネル方式(転流トンネル方式)が多く用いられます。
日本の地形条件とよく合った説明になっています。

選択肢3. 重力式コンクリートダムは、水圧の大部分を両岸の岩盤に伝えることにより水圧を支える構造のダムである。

この文章は誤りです。

ここで書かれている内容は、アーチ式ダムの説明に近いです。

 

・重力式コンクリートダム
→ダム本体が重く、自重(自分の重さ)で水圧に抵抗するダムです。
→水圧は主にダム本体の重さで受けて、基礎地盤に伝えるイメージです。

 

・アーチ式ダム
→ダムが川の下流側に弓なり(アーチ状)に曲がっており、
水圧の大部分をアーチ効果によって両岸の岩盤に伝えて支える構造です。

 

選択肢の文章は「水圧の大部分を両岸の岩盤に伝える」としているため、これはアーチ式ダムの特徴であり、重力式ダムの説明としては不適当です。

選択肢4. 中央コア型ロックフィルダムは、一般的に堤体中央部のコア材に、砂礫や岩石など半透水性の土質材料を用いる。

この文章も誤りです。

中央コア型ロックフィルダムの特徴は、

 

・堤体の中央に水を通しにくい「コア」ゾーンを設け

・その両側をフィルターゾーン、さらにその外側をロックゾーン(岩塊・砂礫)で支える

 

という構造にあります。

ここで大事なのは、中央のコア材は「不透水性(ほとんど水を通さない)」であることです。
コアに用いるのは、

 

・粘土質の土

・透水係数の小さい良質な細粒土

 

などです。

一方、砂礫や岩石はどちらかというと透水性が大きく、水を通しやすい材料で、コアを守る外側のゾーン(ロックゾーン等)に使います。
選択肢では「コア材に砂礫や岩石など半透水性の材料を用いる」としているため、中央コアの役割と材料が逆になっています。

まとめ

今回の問題のポイントは、ダムに関する代表的な工法・形式・構造の特徴を正しく覚えているかどうかです。

ざっくり整理すると、

 

RCD工法
→低発熱・合理化がねらいで、水和発熱は小さくし、パイプクーリングを減らす方向の工法です。

転流工(仮排水トンネル方式)
→谷が狭く流量も比較的少ない日本の河川では、仮排水トンネル方式が多用されます。

重力式コンクリートダム
自重で水圧に抵抗する構造。
→「両岸の岩盤で水圧を受ける」のはアーチ式ダムのイメージです。

中央コア型ロックフィルダム
→堤体中央のコアには粘土質など不透水性の土を使い、その外側に砂礫・岩石を配置します。

 

このように、「どの構造・工法がどんな役割をしているか」をイメージしながら覚えておくと、ダムの問題はかなり解きやすくなります。

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