2級土木施工管理技士 過去問
令和6年度(後期)
問31 (土木 問31)

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問題

2級土木施工管理技士試験 令和6年度(後期) 問31(土木 問31) (訂正依頼・報告はこちら)

ケーソン式混成堤の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • ケーソンは、海面が常におだやかで、大型起重機船が使用できるなら、進水したケーソンを据付け場所までえい航して据え付けることができる。
  • ケーソンの底面が据付け面に近づいたら、注水を一時止め、潜水士によって正確な位置を決めたのち、再び注水して正しく据え付ける。
  • 据え付けたケーソンは、一般的に起重機船を使用して、内部に中詰め材を投入し、ケーソンの質量を増し、安定性を高める。
  • ケーソンの中詰め後は、波により中詰め材が洗い流されないように、ケーソンの蓋となるコンクリートを打設する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、ケーソンを海上輸送し、設置する際の手順や留意点について問うものです。

 

ケーソンは巨大で重量があるため、その据付けは波や潮汐の影響を受けやすく、細心の注意を払って施工する必要があります。

選択肢1. ケーソンは、海面が常におだやかで、大型起重機船が使用できるなら、進水したケーソンを据付け場所までえい航して据え付けることができる。

適当な記述です。

選択肢2. ケーソンの底面が据付け面に近づいたら、注水を一時止め、潜水士によって正確な位置を決めたのち、再び注水して正しく据え付ける。

適当な記述です。

選択肢3. 据え付けたケーソンは、一般的に起重機船を使用して、内部に中詰め材を投入し、ケーソンの質量を増し、安定性を高める。

誤りです。

 

据え付けが完了したケーソンは、内部に土砂や砂利などの中詰め材を投入することで、ケーソン全体の質量を増して安定性を高めますが、この中詰め材の投入は、一般的には起重機船ではなく、グラブバケットなどを備えた起重機船や、コンクリートポンプ船などを用いて行うことが多く、ケーソン自体を起重機船で吊り上げて中詰めするわけではありません

選択肢4. ケーソンの中詰め後は、波により中詰め材が洗い流されないように、ケーソンの蓋となるコンクリートを打設する。

適当な記述です。

まとめ

この問題のポイントは、ケーソンの中詰め作業の方法を正確に理解しているかどうかです。

 

ケーソンは、据え付けが完了すると、自立した状態でその場で中詰め材を投入するため、ケーソンを再び起重機船で吊り上げる必要はありません。この施工手順の違いを正確に把握しておくことが重要です。

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02

適当でないのは、「据え付けたケーソンは、一般的に起重機船を使用して、内部に中詰め材を投入し〜」という記述です。
ケーソン内部の中詰め材の投入には、ガット船(グラブ付きの作業船)などを用いるのが一般的で、「起重機船を使用するのが一般的」とは言えないためです。
他の記述は、ケーソン式混成堤の施工手順として標準的な内容と合っています。

選択肢1. ケーソンは、海面が常におだやかで、大型起重機船が使用できるなら、進水したケーソンを据付け場所までえい航して据え付けることができる。

この記述はおおよそ適切です。

 

・ケーソンは製作ヤードで造り、進水(浮かせる)させて海に出すことが多いです。

・海が比較的おだやかで、現場海域まで安全に航行できる条件なら、引き船(タグボート)などでえい航して据付け位置まで運ぶことが一般的です。

・現場条件によっては大型起重機船を併用して位置合わせや作業の補助を行う場合もあります。

 

したがって、「穏やかな海面条件のもとで進水したケーソンをえい航して据え付けることができる」という流れ自体は、ケーソン式混成堤の施工方法として妥当です。

選択肢2. ケーソンの底面が据付け面に近づいたら、注水を一時止め、潜水士によって正確な位置を決めたのち、再び注水して正しく据え付ける。

この記述も適切な内容です。

ケーソンの据付けは、次のような流れになります。

 

1.ケーソン内部に海水を注水(バラスト)して徐々に沈める

2.底面が基礎マウンド(据付け面)に近づいたら、いったん注水を止めて沈下をゆるめる

3.この状態で

 ・上部からの測量

 ・潜水士による位置や着底状況の確認を行い、位置や水平状態を調整します。

4.位置が整ったら、再度注水して一気に所定位置に着底させる

 

したがって、「注水を一時停止し、潜水士の確認・調整を行ったのち再注水して据え付ける」という流れは、実務でも用いられる一般的な方法です。

選択肢3. 据え付けたケーソンは、一般的に起重機船を使用して、内部に中詰め材を投入し、ケーソンの質量を増し、安定性を高める。

この記述が適当でない内容です。

 

・ケーソンは据え付け直後は中がほぼ空洞で、内部には注水しているだけなので、波浪や地震力に対して十分な安定性がありません。

・そのため早急に、内部に砂や砕石などの中詰め材を投入して質量を増し、安定性を高める必要がある点はそのとおりです。

 

しかし問題は「一般的に起重機船を使用して」という部分です。

 

・ケーソン内部への中詰め材の投入には、通常ガット船(グラブバケット付きの作業船)や、ホッパー船などが用いられます。

・起重機船を使う場合もあり得ますが、「一般的に起重機船を使用する」と言い切るのは不適切です。

 

試験としては、「中詰め材の投入に起重機船を用いるのが一般的」としている点が誤りと判断されます。

選択肢4. ケーソンの中詰め後は、波により中詰め材が洗い流されないように、ケーソンの蓋となるコンクリートを打設する。

この記述は妥当な内容です。

 

・ケーソン内部に中詰め材を入れたままでは、波浪や越波による揺れや洗掘の影響を受けるおそれがあります。

・そこで、上部に蓋コンクリート(ふたコンクリート、上部スラブ)を打設し、中詰め材が動かないように押さえる、堤体としての一体性・剛性を高めるといった目的を果たします。

 

「中詰め材が洗い流されないように蓋コンクリートを打設する」という説明は、目的の一つとして適切に表現されています。

まとめ

ケーソン式混成堤の施工の流れを、ざっくり整理すると次のようになります。

 

1.ケーソンの製作・進水・えい航

2.据付位置での注水による沈設(底面が近づいたら注水一時停止→潜水士などで位置確認→再注水で着底)

3.中詰め材の投入(ガット船などで投入して質量を増やし、安定性を確保)

4.蓋コンクリートの打設(中詰め材の保護と堤体上部の形成)

 

今回のポイントは、「どの機械・船を一般に使うか」まで含めて押さえているかどうかです。
とくに、中詰め材の投入=ガット船などが一般的というセットを覚えておくと、同種の問題で迷いにくくなります。

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